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ヒメルズドルフ温故知新;広場の活用

Sun 6th Mar 2016 - 12:17am : WoT攻略 : WGL観戦記 : Gaming

 ヒメルズドルフは7/42の時代から常に採用され続けているマップである。広すぎず、狭すぎず、脇道や遮蔽も豊富にある。古くから研究されてきたマップだけあって現在でも役に立つ先人達の知恵が存在する一方、大きなルール変更に伴う新しいメタ・戦術の開発もある、大変奥の深いマップだ。

 定石の確立する前、即ち7/42初期の時代においては、様々な編成、様々な布陣を見ることが出来た。時が経つにつれ、編成もある程度固定化され、またポジションの有利不利・戦術の相性が理解され始める。やがて、とある理由によって、北陣営の東展開には重大な弱点が存在することが分かり、西へ展開することが多くなった。7/54となっても北陣営即ち防衛の西展開という傾向が長く続いてきたが、7/54の終わり頃から西展開の弱点が理解され始め、最近は逆に北東で待ち受ける形を多く見る。その理由はいくつかあるだろうが、その内の重要なものの一つは広場にあると個人的には考えている。本記事では、この広場とその周辺事情について7/42の時代から始めて解説する。

1.7/42通常戦(2013年春~2014年秋)

1.1 7ラインラッシュ

 ヒメルズドルフを得意マップとするチームといえば、CISのUnity(現HellRaisers)。Unityが新戦術を開発⇒他チームがそれを真似る⇒それへの対策が開発される⇒Unityが新戦術で強引に打ち砕く。そんなことの繰り返しというのが、このマップにもつ私の個人的な印象だ。

 まだWGLというものが始まって間もない頃、Unityが開発した南スタートでの戦術の一つは初動で7ラインを4枚で突っ込むというもの。突っ込んでからの分岐は、目の前に敵が居るか居ないか、それだけだ。Dラインに敵が居たら4枚でフォーカスして撃破する。特に、このやり方は北東で引き気味に布陣している相手に対して相性が良く、そのような場合には5ラインを進んでcapを取ることが出来る。従って、この戦術の理解と練度が深まり他チームへ普及するにつれ、7/42ヒメルズで北側の東展開は難しくなった。

  

 実際の試合は、RR-UNITY vs NA`VI Round 8 を見ると面白い。

 初手7ラインラッシュから、Dラインの孤立した敵を素早く撃破してしまう。HTは丘上のT69に撃たれ放題なのだが、速攻でフォーカスを決めて終わらせてしまえば勝てるのだ。丘下はこちらが数的優位であり、丘上の敵は被ダメージの分散に参加することが出来ない。フォーカスの権利は突っ込んだUnityが有している。

 一般に、集団戦が始まってから丘上等の遠く離れた敵へ撃ち返しをするか否か、という判断は極めて難しい。丘の上の敵を倒しきれるのであれば撃ち返すのは良いだろう。しかし、倒しきれないのであれば丘は極力無視して、代わりに下に居る敵をフォーカスして下で勝ちきってしまうのが良い。

 また、5ラインでのcapでの構え方のお手本も上述の同じ試合で見ることが出来る。今日のトーナメントシーンではcapの位置が異なるために、capでつり出すことを目的としてこのような形を作ることはほとんど無いだろうが。

 7ラインラッシュという本題からは外れてしまうが、このUnity対Naviから気になるシーンをもう一つ。北スタートのUnityが広場に張り付いてしまう。このような形、どこかで見覚え有りませんか?

 この試合は、ルールの変わった今でも一見の価値がある。戦術的な面で何か参考にする点はないかもしれないが、押し引きの判断やフォーカスの上手さなどは際立っている。この試合の出場者の多くが、2年以上も経った今でも世界トップクラスの現役プレイヤーとして活躍しているという事実は、この試合を見れば納得行くだろう。

1.2 北西キャンプ時代

 北陣営からしてみれば、上述の7ラインラッシュは何らかの方法で止めなければならない。その代表例が北西でのキャンプだ。北西でのキャンプの定石が確立されてしまった結果、ヒメルズは引き分け続発マップに。しかし、そんな状況を打ち破ったのはまたしてもUnity。

1.3 5ラインラッシュ

 Unityの出した答えは簡単。5ラインを突き抜けてA5の対岸に張り付き、capで相手をおびき寄せながら窓を挟んで戦うもの。初弾を受けてしまう分、最初は相手にリードを許してしまうものの、ポジション的な優位を取れるため(窓で頭出しで戦える)撃ち勝つことが出来るのだ。これもやはり最初の内はUnityしか出来なかったのだが、やがてその手法は定石と化す。(参考:WGL GF THE RED RUSH : UNITY VS NAVI FINAL

  

1.4 前へ?

 広場をどのタイミングで取るか、広場を取ってからどのように勝ちに繋げていくか、特に南陣営の広場活用法は7/42の時代からよく調べられていた。(ここで全てを語り尽くせる程の知識は私にはないので、興味のある方は過去の動画を見てほしい。)南側が広場を抑えてしまうと、北側はその行動範囲を大きく制限されてしまう。その結果、北側はマップの端へ端へと追いやられキャンプせざるをえない状況にまで追い詰められてしまうが、やがてそのキャンプを崩す方法も開発される。北側は安直なキャンプは出来なくなり、さてどうするか?

 Naviのこの問いに対する答えの一つは、北陣営も初動で広場に突っ込む、であった。これは7/42最後のシーズンでのことであり、それが正しい方向性であったか否かは分からないまま7/42の時代は終焉を迎えた。(参考:WGL GS NAVI vs UNITY 2 Season 2014 LAN-Final Day 2 、 WGL GS NAVI vs UNITY 2 Season 2014 LAN-Final Day 3

 

2. 7/54&7/68 攻撃・防衛戦(2014年末~)

2.1 キャンプ全盛期(2014年末~2015年春)

 7/42時代の戦術の発展を元に、7/54メタはさらなる進化を遂げたか、というとそうはならなかった。むしろ、時代は逆戻りした。

 7/54当初は、capの位置が現在よりも防衛有利な場所にあり、また総Tier数の変更によるゲームバランスの変化によって、北西でのキャンプを崩すことの難易度は跳ね上がった。1.3で述べた7/42時代の強引な5ラインラッシュが成立しなかったのだ。その堅固な防御を如何にして崩すか、数多のチームが試み、そして失敗した。この時代のヒメルズはあまりにもつまらなく、特に述べることはこれ以上はない。

2.2 cap位置の変更(2015年5月)

 capの位置が現在のように変更されたのは、2015年度シーズン1の直前である。北側のcapに焦点を当てて話を進めよう。北側でのcapの仕方には二つあって、一つはA6の建物の裏、もう一つはB6。攻撃側はこれらcapを用いて、引いて守ってる相手をうまく引き出す、というのが定石である。

 一方、防衛側はこの手に対してどう戦うべきか。つまり、何とかしてcapを上手く切るか、或は、そもそも相手にcapを取らせないか。

2.3 広場へ

 敵にcapを取らせない、そのような戦い方の一つとして、初動で広場を取るという場面はシーズン1の初期から見られた。その一例として WGL APAC Season I Finals 2015-2016 EL VS Kongdoo を挙げよう。

 このタクティクスのコンセプトは簡単。広場を抑えて相手の動きを大きく制限し、capに相手を近づかせない。1.1で述べたように、このアイディア自体は7/42の頃から存在した。7/42通常戦の頃の難しさはここから攻めて勝ちに繋げていくことであったが、攻撃防衛戦では事情は異なる。防衛側は攻める必要は無くて、良いポジションを取ったならば相手の出方を待ってればよいのだ。

 攻撃側からしてみれば、そのような相手に正面から撃ち合いに行くのはあまりやりたくない。ということであれば、再展開して別のところから攻めるしか無い。5ラインも7ラインも封じられているのであれば、それは0ラインしかない。次の手の選択肢が大きく制限されてしまうと、相手に次の手を読まれてしまう。

 

2.4 引いて守る

 一方、北西に引いて守る手はどのようなものがあるか。シーズン1の頃から流行っていた形は、A6にHTを張り付かせて榴弾でcapを切るもの。

 もし、お互いに陣地転換をせずに睨み合っているだけであるならば、このやり方での勝負の行方は、cap要員のHP、cap切り要員のHP、残り時間で決まってしまう。ここで、攻撃側が広場やDラインを自由に使える権利を持っていると仮定しよう。この場合、5ラインへと再展開することでA6のHTを先に排除することが出来る。capはその後でもよいのだ。(参考: KUNG-FU vs ROX.KIS Match 1 WGL RU Season II 2015-2016. Gold Series Play-off )

 

 防衛側としては、このようなシナリオは避けなければならない。考えられる対策としては、Dラインを抑えて敵に再展開をさせない、再展開を早期に察知してA6を逃がす、5ラインで待ち受ける、などなど。上のROXの防衛でも一度はE100を5ラインに入れたのだが、Kung-Fuの再展開によりそれを外してしまっている。

 5ラインで待ち受けて実際に撃ち合った例は、 NAVI vs HR Week 10 Match 7 WGL RU Season II 2015-2016 。5ラインに隠して置いたNaviのWTE100はダメージは取ったものの、HRの車両は一枚も落とせずに逃がしてしまう。A6のIS3はうまく0ラインに逃がし、一度はcapを切るもののそれも封じられてしまう。5ラインへの攻めに対するネタを二つ仕込んでいたにも関わらず、防衛に失敗。

  

 A6のHTはcapの後ろで引いて守るときの重要ポイントであるが、これが使えないのであれば根本からタクティクスを変更しなければならない。capの後ろで守ることが出来ないなら、capの前で守るしかない。これが、シーズン2以降北東で守る形が増えた理由の一つである。

 A6の5ライン攻撃に対する弱さ自体は7/68特有のものでは無く、7/54の時代から分かっていたことである。シーズン1で北東の守りを見ることがほとんど無かったのは、その当時、A6の弱点が5ラインであることを理解していたチームが少なかったからであろう。

3. 7/42再考のすゝめ

 本記事では、0ラインや12ラインのことは忘れ、広場と5ラインに焦点を当てて解説を行った。先人達のマップ研究は偉大なもので、広場の前進守備のように7/42時代に既に現在も通ずるアイデアの萌芽が見られる。フォーカスの優先順位や撃ち合いの技術の高さが参考になるのは、言わずもがな。ヒメルズドルフのように、古くから採用され続けているマップに関しては7/42時代の動画を改めて見直すと、何か良い発見があって面白いかもしれない。

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